【やってはいけない】シングルマザーと結婚した後の「相続」でよくある失敗事例と最悪のトラブル回避策


導入:幸せな再婚が「争族」を招く前に

シングルマザーとの再婚は、新しい家族の形と幸せをもたらしますが、日本の法律上の相続においては、実子(前妻の子など)、再婚後の子、そして連れ子(再婚相手の子)の立場が複雑に絡み合い、深刻なトラブルの原因となります。

特に、生前に何の対策もしていない場合、残された家族に大きな負担と感情的な対立を生じさせてしまいます。

この記事では、シングルマザーと再婚した家庭で**専門家がよく目にする「相続の失敗例」**を5つ挙げ、その裏にある法的リスクと、家族を守るための具体的な回避策を解説します。

失敗例1:二次相続を考慮せず、実家が連れ子のものになる

失敗のメカニズム(二次相続)

これは、再婚家庭で最も深刻な失敗です。

  1. 第一次相続(夫の死亡): 夫が亡くなった際、妻(再婚相手)と夫の実子(前妻の子など)が相続人になります。遺産分割協議で、配偶者が優遇される特例(配偶者居住権など)を利用し、夫の財産の大半(特に自宅)を妻が相続する。

  2. 二次相続(妻の死亡): 数年後、妻が亡くなると、妻が相続した夫の財産(自宅など)は、**妻の実子(夫にとっての連れ子)**が相続します。

この結果、夫の実子(前妻の子)は、血の繋がった親の財産(思い出の詰まった実家など)を一切相続できず、最終的に連れ子のものになってしまうという最悪の結末を迎えます。

  • 回避策: 夫の第一次相続の際、妻と実子との間で、二次相続を見据えた遺産分割を行うこと。または、夫の遺言書で、自宅は妻に相続させ、その代償として実子に現金(生命保険金など)を渡す仕組みを構築する。

失敗例2:「連れ子と養子縁組をしなかった」ことによる後悔

失敗のメカニズム(連れ子の相続権)

「連れ子も実の子同然に育てたから、きっと相続できるだろう」という感情論だけで済ませてしまう失敗です。

法律上、養子縁組をしない限り、連れ子(再婚相手の子)と再婚相手の親との間に親子関係は発生せず、連れ子に相続権はありません。

亡くなった後に連れ子が「私は家族の一員なのに…」と強い不満を抱いたり、実子から「血の繋がりのない人に財産は渡せない」と強く拒絶されたりするトラブルに発展します。

  • 回避策:

    1. 連れ子と養子縁組をする: 連れ子を法定相続人とし、実子と同じ相続権を与える。

    2. 公正証書遺言で「遺贈」する: 養子縁組をしない場合は、遺言書で連れ子に財産を遺贈する旨を明確に残す。

失敗例3:偏った遺言書を作成し「遺留分侵害額請求」を受ける

失敗のメカニズム(遺留分)

「再婚相手の妻に全財産を相続させる」「前妻の子には一切相続させない」といった、感情に任せた極端な内容の遺言書を作成してしまう失敗です。

実子(前妻の子)には「遺留分」という最低限の相続財産を請求する権利が法律で保証されています。遺言書でこの権利を侵害した場合、実子から**「遺留分侵害額請求」**を受け、相続開始後に現金を巡る争いが勃発します。

遺留分請求は、相続人同士の感情的な対立を加速させ、遺産分割協議が泥沼化する大きな原因となります。

  • 回避策: 遺言書を作成する際は、実子の遺留分(法定相続分の )を侵害しないように配慮し、遺留分に相当する現金を確実に確保しておく(例:生命保険の活用)。

失敗例4:養子縁組をしたことで実子の相続分が減るとの「説明不足」

失敗のメカニズム(実子の不満)

連れ子と養子縁組をする際、自分の実子(前妻の子など)に十分な説明や同意を得ないまま手続きを進めてしまう失敗です。

養子縁組をすると、連れ子は実子と同じ法定相続分を持つことになり、実子の取り分は法律上減ります。

実子は、「なぜ自分の取り分が減るのか」「知らないうちに手続きが進んでいた」と不満を抱き、遺言書の内容に関わらず、再婚相手や連れ子との関係が破綻する可能性があります。

  • 回避策: 養子縁組前に、実子と連れ子を含めた家族会議を開き、**「なぜ養子縁組をするのか」「相続分がどうなるのか」**を明確に伝え、全員の理解と納得を得ることが不可欠です。

失敗例5:生命保険を活用せず、不動産ばかり残してしまう

失敗のメカニズム(遺産分割の難しさ)

主な財産が自宅などの不動産だけで、現金や預貯金が少ない場合に起こる失敗です。

不動産は物理的に分割が難しく、「誰が住むのか」「いくらで売るのか」で争いになりやすい財産です。

特に再婚家庭では、再婚相手は「自宅に住み続けたい」、実子は「現金で自分の取り分を今すぐ欲しい」と、要求が対立し、遺産分割協議がまとまらなくなります。

  • 回避策: 遺産分割を円滑にするための**「調整金(代償金)」**を準備しておくことが重要です。具体的には、生命保険の受取人に実子や連れ子を指定し、現金を渡す仕組みを作っておきましょう。

まとめ:専門家への相談で「争族」を未然に防ぐ

シングルマザーとの再婚は、家族構成が複雑である分、相続対策を後回しにすることは最大の失敗となります。

あなたの「新しい家族を守りたい」という思いを確実に実現するために、弁護士や税理士といった相続の専門家に、現在の家族構成と財産状況を伝え、最適な遺言書や養子縁組の戦略を立てることが、何よりも大切です。

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