シングルマザーと結婚|児童手当・児童扶養手当の支給条件を正しく理解する
シングルマザーとの結婚や、子どもを連れての再婚を考えている方にとって、もっとも気になるのが 「児童手当」「児童扶養手当」といった支援制度がどうなるのか」 という問題です。
特に、結婚や事実婚によって受けられる制度が大きく変わることを知らないまま再婚すると、想定以上に家計が厳しくなったり、後から「支給停止の通知」に驚いてしまうケースも少なくありません。
この記事では、児童手当と児童扶養手当の支給条件を正しく理解し、再婚後にどんな影響があるのかをわかりやすく解説します。
1. 児童手当とは?基本的な支給条件を確認
児童手当は、すべての子育て世帯を支援するために国が設けた制度です。
支給対象
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日本国内に住んでいる0歳から中学卒業(15歳到達後の最初の3月末まで)の子ども
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父母のうち、主に家計を支えている方(生計維持者) に支給
支給額の目安
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0歳〜3歳未満:月15,000円
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3歳〜小学校修了前:月10,000円(第3子以降は月15,000円)
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中学生:月10,000円
所得制限と特例給付
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所得制限を超えた場合、 一律月5,000円の特例給付 に切り替わる
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さらに一定以上の高所得世帯では、支給自体が停止される
再婚による影響
シングルマザーが再婚した場合、児童手当の支給判定は 新しい夫の所得で判断 されます。
そのため、夫の年収が高い場合には、児童手当が減額されたり、支給がなくなる可能性があります。
2. 児童扶養手当とは?ひとり親家庭のための制度
児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支えるための制度で、児童手当とは性質が異なります。
支給対象
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離婚後に父または母と生計を共にしている子ども
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父母の一方が死亡、重度障害、行方不明などで養育できない子ども
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原則として 18歳到達後の3月末まで (一定の障害がある場合は20歳未満まで)
支給額(令和最新水準の目安)
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子ども1人:月額約44,000円
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子ども2人:加算約10,000円
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子ども3人目以降:1人につき約6,000円加算
※収入が増えると「一部支給」または「支給停止」となる
再婚による影響
児童扶養手当は「ひとり親家庭」であることが前提のため、
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再婚した時点で受給資格を失う
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婚姻届を出さなくても、同居して生計を共にしている「事実婚」でも対象外
この点を誤解して、「籍を入れなければ受け取れる」と考える人がいますが、役所は住民票や生活実態を確認して判断するため、支給が打ち切られるケースが多いです。
3. 再婚後に残る手当と失われる手当
支援制度はすべて消えるわけではなく、再婚後も続くものと、終了するものがあります。
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残るもの
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児童手当(ただし所得制限の影響あり)
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高校生の就学支援金(世帯年収による判定)
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失われるもの
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児童扶養手当
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ひとり親医療証(医療費助成)
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自治体独自のひとり親向け支援制度(交通費補助・住宅助成など)
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つまり、再婚すると 「ひとり親支援」はほぼ全て終了し、児童手当だけが所得制限付きで残る」 というのが基本です。
4. 再婚後の家計シミュレーションが大切
支援がなくなると、毎月数万円の収入が減ることになります。
例えば、シングルマザーが子ども2人を育てていて「児童扶養手当+医療費助成」を受けていた場合、再婚で月5万円以上のサポートが失われることも珍しくありません。
そのため、再婚前には必ず次のチェックを行う必要があります。
再婚前のチェックリスト
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夫婦の合算収入で生活費を試算する
→ 児童扶養手当がなくなった分を補えるか確認。 -
児童手当の所得制限を確認する
→ 夫の収入でどのくらい支給があるか試算。 -
自治体の制度を調べる
→ 医療助成や住宅支援がどう変わるか把握。 -
養育費や教育費の計画を立てる
→ 支援に頼らず、夫婦の家計でまかなえるか検討。
5. 誤解しやすいポイント
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「事実婚なら児童扶養手当は続く」は誤解
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「子どもが多いから手当が増える」と思っても、扶養手当は再婚で終了
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「児童手当は必ずもらえる」と思い込みがちだが、所得制限でゼロになることも
これらを正しく理解していないと、再婚後に「思ったよりお金が足りない」という事態に陥ります。
まとめ|支援に頼らない家計設計が再婚成功のカギ
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児童手当:再婚後も支給されるが、夫の所得で減額・停止の可能性あり
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児童扶養手当:再婚・事実婚で即終了
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自治体独自の支援:多くは再婚で対象外
シングルマザーとの結婚は、家族にとって新しいスタートとなる一方で、経済的な仕組みが大きく変わります。
そのため、再婚を考える際は 「制度がなくてもやっていける家計かどうか」 を見極めることが最重要です。
しっかり準備をしておけば、「手当がなくても安心して生活できる結婚」を実現できます。